ミシュランがカバーしていない場所ではどうすればいいのでしょうか?
これはいうまでもないことですが、レストランの選択に関して、ミシュランがすべての問題を解決するわけではありません。
第一は、フランス的な評価であるため、ドイッやイギリスなど他国の料理に関しては、バイアスがあることです。
中華料理にいたっては、全然駄目ですね。
ヨーロッパの街を歩くと、ショーウインドウにケーキや食べ物を飾ってあるのをよく見掛けます。
果物屋の店先には、色とりどりの果物が並んでいます。
眺めているだけでも、楽しいものです。
果物を買ってきて、ホテルの部屋で食べるのもよいでしょう。
普通の日本人なら、海外を1週間も旅行していれば、中華料理を食べたくなります。
しかし、これに関する適切なガイドは、ミシュランでは得られません。
中華料理店も載ってはいるのですが、値段ばかり高くて内容が伴わないような店が多いのです。
少なくとも、「雑然としているが味はとびきりよい」というような店は載っていませんね。
第ニの問題は、ヨーロッパ以外の地域は、ミシュラン(赤本)がカバーしていないこと。
もちろん、そうした地域でも、レストラン・ガイドは存在します。
しかし、どの程度信頼できるかが分からないのです。
この場合には、つぎのような対処法があります。
第一は、知人によるクチコミ情報に頼ること。
例えば、私はニューヨークのオイスター・バー(グランド・セントラル・ステーションの地下にある大きなシーフードのレストラン)を旅行家の大木一雄さんに教えて貰って以来、一人でニューヨークに行くときは、必ずここで食事します。
ただし、クチコミ情報がどの程度の普遍的妥当性をもつかは、場合によって異なります。
ホテルのコンシェルジュに聞くという方法もありますが、中立公平な情報がえられるかどうかは、疑問ですね。
第ニは、中華料理店を選ぶこと。
欧米であれば、人口数万程度の町には必ず中華料理店があります。
そして、どの店に入ってもある程度の水準は期待できます。
イギリスの田舎のレストランなどでしばしば経験する「まずくて一ロも食べられない」ということは、中華料理店ではまず起こりません。
したがって、レストランに関する情報が皆無の場合には、中華料理店に行くのが、もっとも安全な方法です。
中華料理店を探すには、「イエローブック」(職業別電話帳)を用います。
ある程度のホテルなら、部屋の机の引き出しなどに置いてあります。
なぜ中華料理店は信頼できるのでしょうか。
その答えは、「競争原理」です。
全世界の中華料理店の殆どは、中国からの移民によって経営されています。
彼らは、いかなる縁にも頼らず、提供する商品のみによって、他の飲食店と競争しているのです。
そのため、決して質を落とせないのです。
これに対して、海外における日本料理店の多くは、地元の一般住民というよりは、現地に駐在している日本人ビジネスマンを顧客としています。
彼らビジネスマンは、日本料理店を日本からの来客の接待に使っています。
つまり、海外に立地していながら、国際競争に晒されていないのです。
このため、価格が異常に高い場合が多いです。
ですから、旅行者は日本料理店を避けるほうが賢明でしょう。